薬剤師を辞めたい!辛い・しんどい毎日から抜け出すための全知識

薬剤師を辞めたい!辛い・しんどい毎日から抜け出すための全知識

かつては憧れて、国家資格取得のために勉学に励み、薬剤師になれたときは嬉しかったはず。

それがいつからか「辛くて辞めたい…」「しんどい毎日から抜け出したい…」と思ってしまう人も少なくありません。

ストレスが溜まってくると「今すぐ辞めたい!」と衝動的になりがちですが、勢いで辞めるのはリスクが高く、後になって「焦らなければよかった」と後悔することも。

そこでこの記事では、薬剤師を辞めたくなる理由、辞められない理由と対処法を紹介。

さらに後悔しないためにとるべき行動、薬剤師経験を活かして別の仕事についても解説しています。

薬剤師を辞めたいと思う7つの理由

「仕事を辞めたい」「転職したい」と思うようになったのには、何かしらきっかけがあるのでしょう。多くの薬剤師も同じようなことで退職を決意しているかもしれません。

薬剤師ならではのストレス要因をあらかじめ理解しておけば、知らず知らずのうちにストレスに押しつぶされてしまう事態を回避できるのではないでしょうか。

まずは、よくある「薬剤師を辞めたい理由」や、辞めたらどうなる?ということについて考えてみたいと思います。

①激務が続く

長時間労働や過重労働が続くと疲労が溜まり、精神的にも追い詰められていきます。中には同僚との業務量に偏りがあって「なぜ自分だけ?」とモヤモヤした気持ちを抱えているケースもあるでしょう。

激務による過労は心身へ悪影響が大きいので、なるべく早く働く環境の改善に取り組みたいものです。

厚生労働省の行った「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の残業時間は、全国平均で月10時間です。これよりも大幅に残業時間が長い場合は注意した方が良いでしょう。

残業時間は、職場の形態によって長くなることがあります。第一に考えられるのは、処方せん受付の時間が長い場合です。一部のドラッグストアでは夜19時以降も対応しています。受付が遅くまで開いていれば、薬剤師が拘束される時間も必然的に長くなってしまいます。

また、大規模な病院の院内薬局では、入院患者向けの調剤業務が遅くまでかかりがちです。この他、処方せん受付時間の後でしかミーティングができないなど職場のルールによって終業時間が遅くなるケースがあります。

残業手当やシフト勤務などの救済措置があればまだ良いですが、そうでない職場は負担感が強くなるでしょう。

②労働環境が悪い

入社前に聞いていた雇用条件と実態が異なる劣悪な職場は「ブラック職場」と呼ばれます。有給休暇を取りにくい、残業代が適切に支払われないなど、労働者の権利が守られていない環境では、いくらがんばっても報われません。

ハッピーファーマシストの薬剤師に対して行われた調査「ブラック薬局の【実情】について薬剤師100人にアンケート」によると、薬剤師が実際に働いたことがある、または聞いたことがあるブラック薬局で最も多かったのが「残業代未払い(32%)」でした。

職場のルールで朝礼は業務時間に含まれない、残業時間が正確に管理されておらず労働に見合った残業代(時間外手当)が支払われていない、といった状況も残業代未払いと言えます。

ブラック職場の中でも特に、給料の未払いや支払い遅延があるのは経営状況が悪い可能性が高いです。退職を申し出る前に薬局が倒産する可能性は低くないので、早めに転職準備に取り掛かると良いでしょう。

③福利厚生が整っていない

就職する前にはあまり気に留めていないけれど、働き始めてから重要性に気付くのが「福利厚生」ではないでしょうか。基本給が同じでも、手当で毎月数万円の差が出るケースは珍しくありません。また、慶弔や妊娠・出産など“いざ”というときに手当や特別休暇があるかどうかでも長く続けようというモチベーションが揺らぐものです。

福利厚生にもさまざまありますが、「雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金」は法定福利厚生と言って義務化されています。また、雇用条件通りに手当が支払われない、就業規則が不明瞭、給料が最低賃金を下回っているような状態は違法です。

福利厚生が規定に違反している場合、所轄の労働基準監督署に相談すると職場に改善するよう指導してもらえます。ただ、誰が通告したか知られる可能性が高いので、退職覚悟で相談する人が多いです。

④人間関係が悪い

薬剤師の働く環境は、限られた人数で長時間一緒に過ごすことが多いです。そのため反りが合わない同僚がいると息が詰まりますよね。また、薬剤師は患者さんの対応もあります。中には困った患者さんがいて、やりとりでトラブルに発展することもあるでしょう。

非常識な人の相手をしていると時間もエネルギーも消耗します。まして職場の上下関係や薬剤師と患者という立場を利用したパワーハラスメントに巻き込まれたら、逃げ出したくなるのも当然です。

転職経験のある現役薬剤師に行ったアンケート「【89%】の薬剤師は辞めたいと思って転職したことに満足している。その理由とは!?」で、「辞めて良かったと感じた職場」について調査したところ、最も多かった回答は「人間関係が悪い職場(パワハラ含む)」でした。

「逃げるは恥だが役に立つ」ということわざがありますが、転職で職場の人間関係の問題から逃れることはけして恥ではありません。

⑤正当に評価されない

薬剤師は国家資格を持つ人だけが仕事に携われる業務独占資格です。そのためか日々の調剤業務をこなしていればそれで良いとみなされる職場もあります。

とはいえ、がんばっているのに評価されない、そもそもちゃんとした評価体制が整っていない職場で働いていてもモチベーションは維持しにくいですよね。

人事評価は給料やボーナスの金額を決めるためのものだけではありません。組織づくりのために人材育成にも活用されます。職員にとってはキャリア形成と深く関わりがあるのです。

経験年数に見合う仕事を任されなかったり、得意・不得意を踏まえた人材育成が行われなかったりでは順調にスキルアップすることは難しいでしょう。正当な評価体制がない職場では、薬剤師として長く活躍したいと思ってがんばっていても報われにくいと言えそうです。

⑥仕事の内容が合わない

経験が浅いのに難易度の高い仕事を与えられる、薬剤師の業務とは言えない仕事を任される…など、身の丈に合わない仕事を抱えることはストレスになります。また中には、憧れて薬剤師になったけれど、実際に働いてみると性格的に合わないと感じている人もいるかもしれませんね。

“合わない仕事”に取り組むのは、経験の幅が広がり、スキルアップするチャンスになると捉えることもできるでしょう。しかし、どうしても好きになれない、どんどん辛くなるばかりでは時間の無駄になる可能性もあります。

一人で悶々としているより、まずは上司や人事に相談してみてください。それでも現状が変わらないようであれば、自身に合う仕事を求めて転職することが解決への近道だと言えます。

⑦法令違反をしている

薬局は医薬品医療機器等法(旧薬事法)をはじめとする様々な法律の上に運営されています。

資格のない職員が調剤業務を行う、調剤しかしていないのに在宅管理料を算定するなどは違法行為です。このような不正を指示する薬局は、その理由がいかなるものでも許されません。

不正が発覚すると行政処分を受けます。違法行為に関わらず異義を唱えていたとしても、処罰を受けるような薬局で働いているとキャリアに傷が付きかねません。状況を改善するには、不正を告発するのも一つの手ではありますが、多大な労力を要するでしょう。それならば、転職して危ない薬局と距離を置く方が身のためだと言えます。

薬剤師を辞めたいけど辞められない理由と対処法

「薬剤師を辞めたいけれど辞められない理由」を独自にリサーチしました。あなたが共感する項目はあるでしょうか?

それぞれの“辞められない理由”への対処法もあわせてご紹介します。辞めたいと悩む状況を変えるために、何か一つでもできることはないか考えてみましょう。

人手不足で辞めにくい

「自分が辞めたら同僚に迷惑をかけてしまう」「この仕事ができる人は他にいない」と、気にして辞める決心が付かないことがあります。人手が足りないからと引き止めに合うこともありますよね。

周りを思いやる気持ちは素晴らしいですが、辞めたいと思い悩んでいるときは自分を大切にしましょう。

人手不足や業務が一部に偏るのは人事やマネジメント担当の責任であり、あなたに非はありません。本来気にする必要はないのです。

しかし、人手不足に何かしら対処したいと思うなら、早めに退職を申し出ると良いでしょう。後任を選出したり採用したりして引継ぎができるように、退職まで3~6ヶ月程度の余裕があると良いです。

すぐに再就職できるか不安

新卒入社した同期の中で最初に辞めることになりそうなど、周囲に転職経験者がほとんどいない状況では、辞めたあとのことがイメージできず不安になるでしょう。

特に自分に自信がないタイプだと「次に採用してもらえる職場がなかったらどうしよう…」と委縮してしまうかもしれません。

自信がないタイプこそ早めに転職活動に取り掛かることをおすすめします。小さな一歩として転職サイトに会員登録してみてはいかがでしょうか。少しずつでも前に進むことで未知の世界の見通しが付いてくるはずです。

また、希望条件にベストマッチする大本命だけでなく、「ここなら自分でも採用されそう」という経験やスキルに合った求人にも求人に応募してみてください。選考が進むことで「自分でもどこかに転職できそう」と思うことができ自信が付いてくるでしょう。

経済的な不安(辞めたあとの生活不安、奨学金の返済がある)

退職して収入がストップしたら支出に追われる生活になるのを恐れて辞められないケースもありますよね。家賃や奨学金の支払いを抱えている人は「生活のため」に働いているという側面もあるのではないでしょうか。

とはいえ生活のためだけに働くのではやりがいを感じにくいものです。新しいことにチャレンジする気持ちも抑え込まれてしまうのではないでしょうか。

いきいきと働ける環境に身を置くためにも、“生活防衛費”を用意しておき、経済面の不安を解消しておくことをおすすめします。

また、奨学金には救済制度がある場合があります。返済額を分割して1回の返済額を減らしたり、一時的に返済をストップさせたりすることができるのです。詳しくは利用している奨学金の運営元に問い合わせてみてください。

薬剤師を勢いで辞めて後悔しないためにとるべき3つの行動

ストレスが溜まってくると「今すぐ辞めたい!」と衝動的になりがちです。しかし、勢いで辞めるのはリスクが高く、後になって「焦らなければよかった…」と思うことがあるかもしれません。

そこで、薬剤師の仕事を勢いで辞めることで起こりうる後悔をご紹介します。同時に、後悔しないために取るべき行動のヒントも紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

①課題解決に取り組み、不満を解消する

今の仕事や職場を辞めたいと思う“不満点”を冷静に考えてみましょう。たとえば「激務で辛い」なら、その期間は長く続きそうですか?年に一時期だけの繁忙期ならばその後に来るボーナスに期待してみてはいかがでしょうか。仕事が合わない、同僚との人間関係に悩む場合は、上司や人事に相談して配置換えの希望を出すのも手です。

不満点だけでなく、今の仕事や職場で気に入っている点についてもリストアップしてみてください。不満よりも気に入っている点の方が多ければ、辞めたあとに後悔しそうです。たとえメリットが少なくても、給料が良かったり、休みを取りやすかったり重要度の高い条件が揃っている場合は、転職するよりも不満点を何らかの形で解消する方が良いケースもあります。

②早めに転職活動を始める

転職活動にかかる期間は、一般的に3ヶ月から半年と言われます。衝動的に辞めて、急に無職なると経済面で不安定になり精神的なバランスも揺らいできます。

そうならないために、働いているうちから転職活動を始めると良いでしょう。転職活動は面接までにもやることがいろいろとあります。まずは、希望条件をリストアップして、求人を検索してみてください。希望に見合う求人がいくつか見つかることで、「転職先はどこかにある」と気持ちに余裕が出てくるでしょう。

③生活防衛費を貯めておく

急に仕事を辞めても、経済面で問題がなければ生活が不安定になることはありません。自分の意志で辞める時だけでなく、急に体調を崩して仕事を休んだり辞めたりしなければならないケースもあり得ますよね。このような時のためにお金を貯めておくことは大切です。

いざという時のために用意しておくお金を「生活防衛費」と言います。転職するつもりなら、給料の半年分を貯めておくのが目安です。退職後にしばらくゆっくりと休みたいと考えているなら年収1年分ほどの貯金額があるといいですね。

早く辞めたいなら収入を貯めるだけでなく、不用品を買取サービスに出すなどして収入を増やし、貯蓄ペースを上げることをおすすめします。

薬剤師を辞めたいと思ったときが辞めるタイミング

「薬剤師を辞めたいけれど辞められない理由」を独自にリサーチしました。あなたが共感する項目はあるでしょうか?

それぞれの“辞められない理由”への対処法もあわせてご紹介します。辞めたいと悩む状況を変えるために、何か一つでもできることはないか考えてみましょう。

薬剤師はニーズがある

これまでの傾向として薬剤師は不足しており、“ニーズがある“と言えます。

厚生労働省の調査「一般職業紹介状況(令和3年2月分)」によると、2021年(令和3年)2月現在での薬剤師の有効求人倍率は2.11倍です。有効求人倍率とは企業からの求人数を求職者で割った値で、薬剤師は求職者に対して求人数が2倍以上あるということになります。同じ時期の全職種を平均した有効求人倍率は1.04倍で、薬剤師は各段に需要が高いと言えるでしょう。

将来的にはどうかと言うと、徐々に需要よりも供給が上回るという予想「薬剤師の需給予測(H30年度)」があります。ただ、この予想は薬剤師国家資格の保有者の数で算出しています。出産・育児などでの休職や離職を考慮していないので、そう簡単に薬剤師余りの時代は来ないでしょう。薬剤師は市況を踏まえて育成・国家資格が付与されているのでこの先も著しい供給過剰になることは考えにくいです。

第二新卒は人気

大学を卒業して社会人経験が1~2年程度の「第二新卒」は、経験の浅さから採用されにくいと思っている人もいるでしょう。

しかし実際は、採用側の第二新卒に対するイメージは比較的ポジティブです。というのも第二新卒は新卒よりも社会人としての基礎ができており、ベテランよりも柔軟で吸収力があると評価しているからです。

新卒の職員は最初に数ヶ月の時間をかけて新人研修を行わなければなりません。これは企業にとっては先行投資で避けられませんが、時間とコスト面での負担が大きいです。

その点、第二新卒は新人研修を一通り終わらせているので、入社してすぐに実務を任せられます。さらに、経験が浅いことで他の職場のルールや考え方に染まっていないため柔軟に物事を吸収できる印象があるのです。

ただ、第二新卒の転職にも注意したいことがあります。勤務期間があまりにも短いと、「またすぐ辞めるのでは」と連想され不利なことです。前職の退職理由に妥当性があり、「次は長く活躍したい」というアピールも欠かせません。

働き方を選べる

薬剤師の雇用形態は正職員の他にも、契約社員、パート・アルバイト、派遣などさまざまあります。

新卒で就職する際はフルタイム勤務の正職員を選ぶ方が多いのではないでしょうか。しかし、結婚や出産、育児や家族の介護などライフステージが変化すると、フルタイムで毎日のように出勤することが難しくなりますよね。それで退職や転職を考えるようになるのです。

薬剤師は雇用形態を変えながら働き続けることが可能です。新卒の就活サイトではあまり見かけなかった雇用形態も転職サイトでは豊富に見つけられるでしょう。転職サイトには、さまざまな年代やライフスタイルの薬剤師にマッチする求人が揃っています。

転職でキャリアアップを目指せる

今の職場ではなかなか評価されず、昇給や昇格できないと悩んでいませんか?今のままでも転職するだけで年収がアップすることは珍しくありません。収入アップだけでなく、より高いポジションに就く、難易度の高い仕事を手掛けるなどのチャンスも得られることがあります。

30代後半や40代以降で転職するのは年齢的に遅いのでは…と諦めるのはもったいないです。実際に、経験豊富な中堅ポジションを迎えたい求人は少なくありません。

経験を積んでいるからこそできるキャリアチェンジもあります。やってみたいことがあれば転職サイトの転職コンサルタントに相談してみてはいかがでしょうか。非公開求人の中に希望の求人が隠れていることがあります。

薬剤師経験を活かして別の仕事に転職するのも一つの方法

次は薬剤師ではない仕事(異業界・異業種)に転職したいと考えている方もいるでしょう。薬剤師として働いた経験、国家資格の知識、薬学部や国家試験を受験するために励んだ経験が活かせる仕事は意外と多くあります。

【薬剤師資格を活かせる仕事】

  • 製薬会社の研究職、開発職、DI(Drug Information/医薬品情報管理業務)
  • 医薬品卸販売会社の管理薬剤師
  • 医薬品・食品・化粧品の研究機関の研究員
  • 薬学系の大学教員
  • 麻薬取締役菅

 

【薬剤師経験・知識を活かせる仕事】

  • MR、治験コーディネーター
  • 薬学系大学・学部受験対策塾や薬剤師国家試験対策塾の講師
  • 薬剤関係の編集者・記者

上記の他に薬学部で取得した単位を活かして、教員養成課程を修了すれば中学・高校の理科の教員免許取得を目指せます。

いずれも募集人数は多くはないですが、DIであれば各事業所に1人は配置する必要があるように“なくてはならない存在”になることが可能です。新卒では入社するのが難しい求人も中途入社であれば転職しやすいことがあります。

まとめ

「薬剤師を辞めたい」という気持ちは誰しも抱くものです。気軽に口にすることはなくても、多くの薬剤師が抱えている悩みなのではないでしょうか。

職場環境や人間関係のトラブルによりストレスが溜まる、ライフステージの変化で同じように働き続けるのは難しくなりそう…というときは、転職して新しい道を進むのも一つの選択肢です。

ただ、勢いで辞めてしまい後悔するのではなく、早めに準備をして転職活動に取り組むと良いでしょう。きちんと準備することで、希望条件に合う求人や年収やポジションがアップする求人が見つかりやすくなります。